2012-05-03

Duvet

湿度のないからりとした風が頬を撫で回しながら幾度も駆け抜け、思わずページをめくる手を止めた。新緑美しく日差しは良好、少しばかりひんやりとする木陰で珈琲をすする。両側のテーブルが何度か回転して次、スタッフの研修の最中、何故かその声を受け付けられない。「じゃあQSCのQの意味を教えて?」劇団員風な抑揚とひらひらと舞う掌が彼のステージだけ走り出した光景を確立させ、完全なる自分本位の性交を想像させる。ああ、ご破算願いましては。振り払う台詞はいつだって同じだ。その算盤に熟した桃を押し付けて甘い果肉を通り抜けさせたい。もしくは網戸に木綿豆腐、あるいはガットから蒟蒻畑。何かをこう押し付けて形を崩した跡を見たいのだ。脳をシュレッダーにかけ再生を促すように。記憶の破片を取り除くように。そういえば私は自分の頭部CTを部屋に隠し持っている。二段目の左、茶封筒の中。いつか理性を失ったらどうかそれを突き出し宥めて下さい。「あなたはあなたが思っているよりも左右対称である」と。きっと私は時空を逆転させ、自分の粗忽を詫びるだろう。申し訳ございません、大変失礼いたしました。常套句に頬を薔薇色に染め、記憶の上書きに精を出す。未来の失態を描き、平穏に過ぎ去った時間を慈しむ。苦みのある葉ばかり好む私と現実の整合性のなさについて話し合うべきなの。もしくは掴んでいる尻尾に血が通っているかどうか。温もりのある影はきっと柔らかにシナプスの混乱を防ぎ、完璧な主張は慎ましやかに、意志は揺るぐことなく忠誠を誓う。さあ、今すぐに快哉を叫べ!