2012-06-23

retrial

1997年(平成9年)3月19日に、東京都渋谷区円山町にあるアパートの1階空室で、東京電力東京本店に勤務する女性(当時39歳)の遺体が発見された。発見し通報したのは、このアパートのオーナーが経営するネパール料理店の店長であった。後に被告人となるネパール人男性ゴビンダ・プラサド・マイナリは、このアパートの隣のビルの4階に同じく不法滞在のネパール人4名と住んでいて、被害者が生前に売春した相手の一人でもあった。死因は絞殺で、死亡推定日時は同8日深夜から翌日未明にかけてとされる。 1997年(平成9年)5月20日、警視庁は、殺害現場の隣のビルに住み、不法滞在(オーバーステイ)していたマイナリを、殺人事件の実行犯として強盗殺人容疑で逮捕した。マイナリは、捜査段階から一貫して冤罪を主張。当初は、ありふれた殺人事件と思われていたが、日本を代表する大企業のエリート女性社員が売春を行っていたこと、無罪になった外国人を釈放せず拘留し続けたこと、DNA鑑定の真偽に問題があること、検察による証拠隠しの疑いなどにより、裁判史に残る事件となった。 (東電OL殺人事件 Wikipedia参照)

ちょうど、とか、たまたま、とかそんな言葉で説明がつかないほど、この15年前の事件に興味を持っていた最中の6月7日、東京高裁がついに再審を始める、というわけでマイナリさんは釈放されたわけなんですが、あまりのタイムリー具合に驚愕してしまった。

友達にすすめられた桐野夏生さんの「グロテスク」を読んだのが5月の始め。被害者の女性がモデルになった登場人物がとにかく破壊力を持っていて虚脱感はんぱなさに数日ぐったりした。 それから見逃していた園子温監督の「恋の罪」のレンタル開始日、それが6月2日、事件を軸にしたその映画は想像と少し違ったけれど、終わったあと唖然としてしまった。鼻血を流していた神楽坂恵さんの見事なまでの美しさ。 そのあと事件のことが気になり調べているうちに佐野眞一さんが書いた「東電OL殺人事件」「東電OL症候群」という2冊のノンフィクション小説に辿り着き、読んでいる最中になんと再審が始まったのでありました。そんなことってあるの。

裁判の部分は理解しきれなかったけれど、それ以上にどうしても被害者のことが気になってしまう。 職業、体型、身なり、お化粧、食事、家族、関係、所持品、行為、排泄、殺害後。 知るほどにもどかしい気持ちが膨らんで追いかけるのを止めてしまったけれど、多分忘れられない人として私だけではなく、色んな人の心の中に残っているのだろうと思う。あまりにも苦しくて、腹立たしい、そしてまだ終わっていない恐ろしい事件。 「グロテスク」「恋の罪」「東電OL殺人事件」「東電OL症候群」の順番で追うと、想像が映像化され、いつのまにか現実を追いかけているという展開になるので、じわじわと迫ってくる気配はもう言葉にならない。和恵が美津子になり、そして泰子さんと重なり、自ら歩み寄ったはずなのに気がついたら追いかけられているよう。





朝一番で健康診断に。採血はいつも針先を見つめてしまう。血が吸い取られていく感覚、特に痛みもないから他人事のように感じる。細い容器に3本、チューブに残った自分の血を見ながら、赤いなあと。作られた血っぽいものはたくさん見ているくせに、なんかこう違う気がして、もう少し見ていたかったけれど、名前が書かれた容器は保管され、針とチューブはいつのまにか処分されていた。私の血、正しく赤かったなあ。強制的に引き抜かれていった血の検討を。

これからも、よい朝を迎えられますように。